角野栄子さん=文 大島妙子さん=絵
絵本の名前
『一年生になるんだもん』です。幼児さん向けの“小学校ってこんなところだよ的”な、絵本や図鑑は観たことがありました。いわゆる“ガイドブック”的なものですね。ですが、この絵本は、ちょっと違います。小学校入学式の日までの、女の子の心情を描いた絵本です。結論から言うと、何回読んでも涙が出てしまう、そんな心の根っこを、じんわりと包み込むような素敵な絵本です。
『一年生になるんだもん』のあらすじ
主人公である“さっちゃん”の6歳のお誕生日会から物語がスタートします。さっちゃんは、一年生になることが楽しみで楽しみでしょうがありません。「一年生になりますよ」の招待状ともいえるお手紙が来るのを、今か今かと待ち続けます。(※いわゆる健康診断の案内です)。とうとう届いた手紙に大はしゃぎです。さて、このまま、あらすじを続けてしまうと、読んだときにがっかりしてしまうかもしれませんので、ここまでにしておきます。
適齢
間違いなく、5歳や6歳でしょう!!そうです新年長さんくらいからです。そのお子さまにもぴったりですが、お父さまとお母さまにも、絶対にピッタリなはずです。「子どもって、こんなにも、暖かで柔らかく、周りの人たちに包まれていていいんだ!!」と言うことに気が付かされます。この絵本では、誰もが、さっちゃんが小学生になることを歓迎していています。誰もが、さっちゃん自体を歓迎しています。歓迎されることや、受け入れられることを、十分に享受してきたさっちゃんは、いつも柔らかくふんわりとした、それでいて好奇心に満ちた子どもらしいお顔をしています。
読み聞かせの際のアドバイス
抱きしめながら読みましょう。見つめあいながら読みましょう。こんなに、「未来は明るいものだ」を、潜在的に伝えてくれる絵本はありません。こんなに「未来はあなたのことを歓迎しているよ」を、潜在的に伝えてくれる絵本はありません。読み終えて、寝息が聞こえてきたら、お子さまのお顔を撫でながら、寝姿を、よく見てください。きっと、絵本の最終ページのさっちゃんの寝姿と我が子の寝姿がそっくりであることに気が付くはずです!!
結論
子どもの心の根っこと、お父さんとお母さんの我が子に対する愛情の根っこを、包み込みながら温めてくれます。誰もが、みな、さっちゃんだったはずです。子どもはみな、さっちゃんでいいはずです。そんなことを思い出させてくれる最良の絵本です。
感謝の意を込めまして 神山眞