世界で1番素敵な宝物
【子どもへの声掛けはマニュアル化できるか?】
仕事がら、たくさんの子育ての本を読みます。
「なるほどなぁ」
と、納得、感心することがほとんどです。
ですが、時々、こんな風にも思います。
「果たしてマニュアルって必要且つ有効なのかな?子育てに?」
特に声掛けです。
「こんな時は、このようなことを言いましょう」
という具合に、叱る時、褒める時にも、言い方や言うべきことが書いてあることがあります。
とても親切な本には、その際の声の大きさや声色まで書いてあります。
そんな時、昔読んだチャップリンのお母さんのことを思い出します。
【安心感が勇気を与え、挑戦する心を育み、折れない強い心を作る】
皆さま、チャップリンをご存知ですか?
そうです。
あのぶかぶかのズボン、山高帽子、ステッキ、ちょび髭の喜劇王です。
チャップリンは幼少時、孤児院で過ごしていたそうです。
母親はいたそうですが、養育能力がなかったために施設に入所していました。
あるときチャップリンは伝染力の強い「タムシ」になってしまいました。
他の少年たちの嫌悪の目にさらされた後、隔離病棟に移されました。
惨めな気持ちで泣きながら過ごしているある日、母親が面会に来てくれました。
坊主頭にヨードチンキ、その上をハンカチで縛った頭のチャップリンは恥ずかしくてたまりません。
しかし母親は気にする素振りすら見せず、大笑いしながら、伝染力の強い伝染病のチャップリンを抱きしめてキスしてくれたのです。
そして優しくこういったそうです。
「ええ、ええ、どんなあなたでもいいのよ。本当にかわいいお前なんだから」
チャップリンはこの時のことを、「どれほど安心したか」「どれほど幸せだったか」という思い出として、終生忘れなかったと語っています。
その後の人生で、その時の母親の言葉を思い出しては、励まされ、元気づけられたそうです。
私は、この話を聞いた時涙が止まりませんでした。
「どんなあなたでもかわいい」という母親の無条件の愛の深さに感動したからです。
私にも、大いに身に覚えがあったからです。
【世界で1番素敵な宝物】
「どれほど安心したか」
「どれほど幸せだったか」
この二つの気持ちを子どもたちに、ほんの少しでも与えられるような授業がしたいなといつも考えています。
そのためには、
私は何をすべきでしょうか?
何を語るべきでしょうか?
日々、自問自答しています。
残念ながら、答えが出ないまま、日々、授業を行っています。
繰り返し、繰り返し、授業が終わっても考え続けます。
この二つの気持ちを得ることができた子どもは幸せです。
きっと、どんな困難も乗り越えられます。
どんなときにも勇気が湧いてきます。
二つの気持ちは、小手先のテクニックだけでは与えられないような気がします。
【おあずかりします】
お子さまが入室し、お父さま、お母さまをお見送りする際に、私は必ず「おあずかりします」という言葉を使います。
皆さまの深い愛情に包まれた、大事な大事な宝物。
そのような宝物であるお子さまを預かる仕事を縁あってさせていただいております。
今日も皆さまの一番の宝物と共に学ばせて頂きます。
身が引き締まる思いと同時に感謝の気持ちで一杯です。
ありがとうございます。
私は、ガチガチの唯物論者です。
しかし、皆さまのお子さまと接していると神さまがいるような気がしてなりません。
こんなに素敵な宝物(皆様のお子さまです)と出会うことができるのは、きっと神さまがいるからだと考えています。
感謝の意を込めまして 神山眞